働くことに思うこと

新大阪で起業した男の顚末まで

労働基準法守ってる方が会社はうまくいく

経営者は言う。

 

「法律守ってたら会社潰れるよ」

 

本気か冗談か、本気ならば苦笑いだ。早く潰れてくれ。

 

法律は、人類の叡智である。

 

沢山の失敗や、悲しい事件を教訓に法律という形でルール化されている。

それを無視してしまうことはさすがに偉い社長様でも許されることはない。

 

労働基準法も、強制労働や、労働時間の上限など、問題点を少しずつ改正して今に至る。労働者のために整備されている法律だ。

 

経営におけるサービス(提供する付加価値)は、働く人たちが与えられる労働にプライドを持って働いているかどうかで大きく変化する。プライドを捨ててまで苦しい仕事を選ぶ理由は、苦しみの対価をお金に置き換えて納得できるかどうかで決まるが、やはりそんな会社のサービスの品質は低い。

 

裏を返せば、プライドを持って働くことができるならば、将来の自己実現とキャリアアップ、会社を通じた社会貢献の実感など、給与以外にやりがいをもって働くことができる。つまり極論、給与は安くてもかまわないのだ。

 

法律をしっかり守り、働く人たちのプライドを守ることは、離職やモラルハザードの防止、余計な人間関係のひずみを解消する唯一の手段である。

 

会社のような人で構成される集団は必ずルールが必要で、法律というルールを守ることが秩序維持に必要不可欠だ。

 

適切に維持された秩序の下であれば、皆が活き活きとはたらくことができるし、利益の一次的な受け皿である会社は高品質のサービスによって大きな見返りを享受することができる。

 

さらに利益の再分配として従業員へ還元すれば、ひたすらに良好なスパイラルに乗り、業績は向上する。

 

法律を守らない会社では、当然従業員もルールを守らない。守る必要もない。

自分だけのルールを守らせようといつもイライラ不機嫌な経営者の下では誰も育たない。人が育たない組織は必ず衰退する。

 

上機嫌に、皆で目的に向かって猛烈に働くためには、労働基準法を徹底的に守ることが第一歩なのだ。法律を守らないなんて恐ろしくて経営者ならできないはず。

 

守らない会社が得をすることは無い。必ず後で帰ってくるのが因果応報。

 

 

 

resus.jp


 

 

社長はヘラヘラしてるほうがいいと思う

最近怒った記憶が無い気がする。

 

会社を興してもうすぐ2年、僕は恐る恐る社員に聞いてみたが、

 

 「いや、怒られた記憶ないんですけど~昼行ってきま~す」

 

 はい行ってらっしゃい。

 

そういえば僕は怒れない。恋人ともケンカしない。怒るも叱るもしない。アンガーマネジメントなどというおしゃれなものではなく、怒ることのメリットを見出せない。感情でうわーっとなることも無い。怒ったら倍返しされることを知っている。損得勘定で生きている僕は徳のない行動はしない。

 

営業において必要なことは、相手を自分の思う方向へ行動させることで、それは言葉と感情を相手に伝える必要がある。

 

大げさに喜んでみたり、手紙を送ってみたり、泣いてみたりそして怒って恫喝してみたり。人を行動させるための方法はいろいろあるけれど、持続する経営においては長く会社に定着してくれることがまず前提で、目下の行動を誘導することが目的ではない。経営は、即時の結果を求めても意味がないのだ。そういえばわが社の社員も取引先や協力事業者たちも怒らない。昔はよく怒っていたおじさんも今はただの陽気なパシリに成り上がっている。

 

怒る必要がなくなると優しくなれるかというとそうでもないが、怒る必要がなくなると人間は怒る能力を失ってしまうものなのだろう。そしてなんと穏やかに充実した日々か。

 

僕はヘラヘラして生きていたい。

 

みんな怒らないでね。

 

RESUS社会保険労務士事務所

山田 雅人

 

 

バックマージンという病

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バックマージン。それは甘い囁き。

バックマージンはあなたの周りに確かに存在するが、目には見えない。

その携帯にも、その服にも、あの広告にも、どこにでも存在している亡霊。

 

そう。バックマージンとは、リベートやキックバックなどとも呼ばれる、取引の第三者に紹介料やコンサルティング料などといった名目でこっそり支払いされるお金だ。亡霊ではない。

 

皆さまはバックマージンを知っているでしょうか。

バックマージンを要求したり、受け取ったりしていませんでしょうか。

  

仕入原価や人件費、その他ビジネスに必要な原価を算出したうえで顧客から料金をいただくことが商売の原則だが、バックマージンを認容するとその分をさらに上乗せして顧客に支払ってもらわなければならない。

 

ブローカーと言われる人たちはバックマージンで儲けているから負のイメージがある。

 

僕も不動産業界が長かったが、あらゆるお金にバックマージンが絡んでいて、入居者や買主などの顧客からいただく手数料報酬が主な原資だ。顧客もバックマージンで貯めた金を使うのならばいいけれど、そうでもない人がほとんどだ。

いわばバックマージンは大小あれど顧客を欺く行為で、営業的には禁じ手だ。わかっていなければ目を覚ました方がいい。

はじめは負い目のあったバックマージンも慣れて麻痺してしまうと平気になる。

中には個人で受け取りたい輩も存在するが、これは背任や横領といった立派な犯罪行為になり得る。

ちなみに、私も若いころは地主に取引の謝礼として商品券や現金を受け取ったことがあるので、無知とはいえ私も手を染めていた。

 

それ自体はただちに違法ではないが、顧客に公開できない闇取引。長生きしたければ誰に見られても胸を張れる仕事以外はしてはいけない。必ず後でさらに苦しいことが待っている。ややこしい奴だったら最悪で、たかられたり脅されたりして末路を想像するのも恐ろしい。

 

事業とは、 お互いの信頼関係を基礎として成立している。

 

僕はバックマージンを要求してくる輩とは取引しない。その内容を取引関係者に開示しているのであれば構わない。情報社会の商売は公開を原則としなければならない。隠してもどうせバレるから。マージン取られて疑わない奴は金なんて持ってない。

 

適正なマージンとは、公開されていることに尽きる。率の問題ではない。

 

関わらないほうが身のため、大切な会社のため。

 

resus.jp

 

RESUS社会保険労務士事務所

山田 雅人

 

 

辞めればいいやんなんて言えないよ

働く人たちは皆それぞれ悩みを抱えて働いている。

僕は少しでもそんな人たちの役に立ちたいと思って会社を創業したけれど、40にして惑いまくっている。

僕が休日に実施している労務相談は法律を勉強したつもりの僕が悩める労働者や新米経営者たちにありがたいお話をしてズバッと解決してやろうと開始したのだけれど、ごう慢なおごりだった。全然ズバッと解決できてない。

パワハラで悩んでいる若い社員にも、今後改善するかもしれない会社に対して、その会社が法律違反しているから辞めた方がいいなんてはっきり言ってしまっていいのだろうか。辞める以外の方法は出し尽くしただろうかと悩む。

大手企業で立派な肩書きもある人が独立の相談にきても、自信をもって背中を押してあげればいいとも思うけれど、起業はそんなに甘くない。果たしてこの人はやっていけるのだろうか、と考えると、止めたほうがいいと思ってしまう。

飲食店の開業なんて絶対にやめた方がいいと思っているけれど、熱意も愛嬌もあってもしかしたらいけるんじゃないかなんて思ってしまう。

物差しは結局皆それぞれにあるもので、助言じゃなくて意見を聞きたいだけだから、あまり自分と重ねないようにした方がいいのだろう。

会社なんて辞めて自由に生きればいいやん、昔はそう思っていたし、僕自身もいつでも辞めれるように辞表はカバンに入れていたけれど、ひどいパワハラも、超長時間労働も、無給休日出勤も、賃金未払いも、リストラも、今思えば(辞めさせられる前に)辞めなくてよかったと思っている。苦労は買ってでもしろと昔の人は言っていた意味がよくわかる。逃げ続ける人生には必ず行き止まりが来る。はず。

僕は特別だと自分で思っているし、人はそれぞれ当然に特別な存在で、それぞれの長い人生には自分以外で責任を取ってくれる人はいない。

会社員時代に部下が病気で苦しんでいたときも、喉元まで来る言葉が言えなかった。辞めてもいい社員なんていなくて、それぞれに役割があって、辞めて良かったと思える将来が待っているだろうか。苦しんでいるなら開放してあげた方がいいのかもしれないけれどやっぱり言えない。

辞めた後の責任はとれないし、辞めなかった事の責任だってとれない。

君の人生は無限かもしれないし、有限かもしれない。無限の可能性は明るいばかりではない。

辞めずに頑張ってもいいことなんてないかもしれないし、大した技術もない人間が他社で活躍できるとも思えない。優秀な人間もその会社での話で、他社でも優秀かどうかはわからない。

辞めて良い結果が出ればいいけれども、僕は辞めなかったことに満足している。

人生は選択の連続だとは言うけれど、その分かれた道の先は未知で、もっと苦しいことが訪れたときにまだ逃げ出せる選択肢は残っているだろうか。

人生は失敗ばかりだけれど、その失敗の積み重ねが大きな成功を引き寄せる。

どんなに苦しくても、辞めればいいとは限らない。

 禍福は糾える縄の如し。縄と蝿は似た漢字。

 

 

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社会人はなぜ時間を守らなければならないのか

 

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社会人はなぜ時間を守らなければならないか。

 

時間を守れと上司から口酸っぱく言われ続けていると思うが、なぜ守らなければならないかと逆に聞いてみれば、たぶん「常識や」と一蹴される。

 

社会人の大半を占める会社員。会社員は労働契約で会社とつながっている。

 

会社員はその「時間」を会社に提供し、その対価として給料を受け取っている。みんなが大好きな労働基準法も実は労働時間の長さについて規制しており、これが労働契約の基本だ。

 

よって契約した時間の一部でも提供しなかった場合には、契約違反となる。

 

だから時間は守らなければならない。そう約束している。

 

まるで優れた能力を買われていると勘違いした労働者はどこの会社にもいるが、労働者は能力を基準に対価を支払われているわけではない。労務に服した「時間」を基準に対価が支払われている。

 

とはいえ、時々とんでもない仕事をやってのけ続ける労働者もいるので、そういう人間は早く能力を引っ提げて独立してほしい。

 

もしも優れた能力を持っていると自信があり、その能力を買ってほしいのならば、労働契約を解除し、その成果に応じて支払われる業務委託でもなんでもいいから契約をやり直せばいいのだ。能力があれば買ってくれる。時間を守りたくない人も同様だ。

 

 さて、会社側も正しく労働契約を守っているだろうか。約束した時間以上に働かせていないだろうか。提供された時間に正しく対価を支払っているだろうか。

 

長々続く会議も、ありがたいお説教も、朝の掃除も、夜の飲み会も、会社の旅行も、待機時間だって賃金支払い義務の可能性があることを理解しているだろうか。まさか労働者の時間を奪っておいて、賃金を支払わないなど都合の良い解釈はあるまい。

 

能力が低いから対価を支払わないのは許されない。労働者に対して約束を守らない会社は常識を口にしてはいけない。

 

お互いに時間だけは守らなければならない。お互いに常識ある社会人なのだ。

 

 

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能力がないのに自由を欲すること

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当社は多様な働き方を推奨している。

 

代表の私自身も複数の法人に所属しているし、日替えのダブルワークや時短勤務で上手に働いている従業員もいる。

 

訳あってフルタイムで働けない優秀な人材を労働市場に戻すことや、副業、趣味、学問など社外での時間利用を通じて人物的に成長し、いつか当社に還元してもらうことが目的だ。

 

社会保険も当社は適用拡大の届け出を提出しているので、週20時間以上働いていれば社会保険に加入でき、万一働けなくなった時の保険もばっちりだ。

 

求人票にもそのことを謳っており、時短正社員希望で多数の応募者が来る。 

 

私たちは時間の許す限りできるだけ沢山の人と会うようにしているが、なんの努力もなしで自由ばかりを求めている人が多い気がする。

  

どんな特技があるかと聞いても答えられない人もいるし、パソコンも少し触れるレベルで、元気もないし暗いし、学生時代に研究していたというテーマなんかの質問をしても忘れていてこたえられない人もいる。現在熱意をもって取り組んでいることも無いし、過去の勤務先での成功や失敗、貴重な体験を聞いてもまるで答えられない大人が多くて憂いている。時短勤務に理由がない人もいた。

 

私は経営者なので、個人個人の隠れた才能をビジネスに活かし、社会に貢献してもらうことが責務だと思っているが、いくら時間を費やしても見いだせない人がたくさんいる。そして、そういう人も自由を求めている。

 

特技もなく、苦労もなく、資格もなく、勉強してスキルを磨くこともなく、それでも自由を欲している人達は実に危ういと思う。

 

人は総じて自由を求める生き物だとは理解しているが、働くという尊い行為を否定し、自由だけを求めることができるのは成人するまでだ。

 

労働という時間を提供する行為ではなく、何か社会に付加価値を提供することのできる特技を極めて収入を確保することは大いに結構だと思うが、実家暮らしで何もできない大人が拘束を嫌い、自由を謳歌したいと考えていることは非常に危険な考え方で、数年たった時に現実を知りヒモジイ思いをするのは目に見えている。

 

ホリエモンや、ヒカキンや、その他自由に見える人たちも相当な苦労を積み重ね、勤勉さ、誠実さや行動力を身に着けており、そうでない人間が表面だけを見てマネしたがるのは恐ろしい。

 

まあ他人事だからいいとしても、自由を謳歌したいなら誰にもマネできない特技の一つでも磨き、それを社会に役立てていく強い行動力が必要だ。無い人間はわが社にも縁はない。

 

逃げて自由になることと、自由を切り拓くことは違う。

 

前者にならないように肝に銘じたい。

 

 

RESUS社会保険労務士事務所

山田 雅人

yamada@resus.co.jp

 

 

 

算定基礎届の手続き

社会保険料の算定基礎届手続きも無事完了した。

 

サラリーマンはほとんど知らないが、この時期は定時決定のための報酬月額の算定基礎届け出の時期なので、給与担当者は大変忙しい時期だったのだ。会社員の君たちは何の手続きもせずに勝手に給与が振り込まれているから無関心になっているが、年金保険料がどういう計算方法で決定して引き落としされているかぐらいは理解しておかないと大人になったときにゴミ社員扱いされるので嫌なら勉強しておいたほうがいい。外注してるからわからないという人事部ならば、残念だが自分で本でも買って勉強しよう。

 

さて、マイナンバー情報の交換によって国税社会保険庁が連動して調査がたやすくなるような話はずっとあるが、実際のところどうなんだろう。

 

さすがに未提出の会社は調査すると思われるが、私の友人の友人の友人の会社などは、社長の報酬月額をかなり少なく提出したり、社員たちの報酬も適当に届け出しているところも多いそうな。

 

年金に強い信頼のあった時代などはかなり多めに記載して提出しているところもあったらしいし、随時改定なんて無視しているところも沢山あるし、誰でも知っている札幌の大手企業は本来算入すべき手当のすべてを除外して算定届を提出していても20年以上もお咎め無しだったと開き直っていた(そして指摘された)ので、税務署と年金機構は調査能力に圧倒的差があると思う。

 

税金は国家運営の最重要なことに対して、年金などは国民に提供するサービス程度と考えているのか、相変わらず不祥事が多い。ウイルスメールを開いちゃったうっかり職員はともかく、事務処理を海外企業に委託しちゃったり、消えた年金はどないなったんじゃ。

  

さて、いまはちょうど繁忙期が定時決定の4~6月となる事業の場合は年間の平均を標準報酬月額とできる手続きなどもあるが、利用実態はどうなのだろう。

 

そもそも平均で手続きすればいいし、 標準報酬月額が階層になっているのもパソコンの無かったアナログ時代の事務簡略が目的だったというが、このデジタル時代にあいかわらず謎の制度が維持されているのはどういうことやと嘆きながら作業している。

 

私たち専業は平気だが、電子申請のイーガブ(e-Gov)なんて自他ともに認める使いずらさでどうやってらいいねんと相談に来る事業主もいる。私はそんなことでお金をもらいたくないしやりたくない。

 

生産性向上どうこういうのならば、事業主のこういう作業負担の軽減も考えてほしいとまた嘆く。

 

 

まあ終わったからいいけど。また呼び出しされませんように。

 

 

resus.jp