働くことに思うこと

新大阪で起業した男の顚末まで

就業規則は縛ることではなく、守ること。

若者経営者は就業規則をちょっと甘く見ていると思うので就業規則について。

 

 就業規則が10人以上から作成義務があることはよく知られたことだが、10人未満は義務とされていない。しかしあなたの会社に真のトンデモ社員をうっかり入社させてしまった時、就業規則において懲戒事由を定めておかなければ解雇などの高ハードルのものは当然、降給を伴う降格などの不利益変更は原則行使することができない。

 

一定数潜むトンデモ社員を面談で見抜くことがいかに難しいことかを、それなりに人事を経験した者であればよく理解している。

 

モデル就業規則をちょっとだけ書き換えて使っている事業所もいるらしいけれど、厚生労働省のモデル就業規則は法律上は完璧だけれども実務上の不備が多くて、私ははじめ見たとき不動産のモデル重説みたいに危険や!と思った。

 

例えば、昇給に関する項目があるが、現代経営においては昇給だけでなく、降給(降格)も想定しておかなければならない。就業規則に記載がなければ降格も出来ない。

 

私たちの社会は秩序を維持することで健全さを保っている。

 

会社において秩序維持に最も必要なルールである就業規則をいい加減なものにしていると、最も大切な秩序が維持できないことになる。

 

昨今の経営においては横領や暴力的行為だけでなく、ハラスメントや情報漏洩に関する事など、幅広くリスクを想定しなければならない。リスク回避においては根気よく教育を継続しなければならないが軽く考えている従業員も多く、冷蔵庫に入ってみたり、昆虫のせてみたり、無邪気さの度合いを超えた行為で会社の信用を傷つけてしまうものや、自分中心的な逆恨みで秩序を破壊する者が自社から現れることも絶対にいないとは言い切れない。優しくて人気のあった平社員が、とんでもないパワハラ上司に変身することだってある。

 

そんなとき懲罰すべき事案でも、規則が無ければ行使できない。罪刑法定主義なのだ。

 

就業規則類は甘く見られがちではあるが、会社にそぐわない社員を入社させてしまったとき、適切に処分を行使できるかどうかで事業は大きく変わる。歴史ある会社の就業規則はすっごい分厚い。簡潔ではなく、網羅されていることに重きをおいている。

 

ズル賢い人間はズル賢い。誰もがおかしいと思うことでも、就業規則に記載のない処分は行使できないことを経営者は知っておかなければならない。万一を想定できない会社は弱い。労働者の権利はしっかり守られているのは良いことではあるが、守るべきでない労働者の皮を被った輩も、同じように守られてしまうのが現状なのだ。ズル賢い人間は知っている。

 

トンデモ社員をのさばらせると優秀な社員たちが辞めていく。

 

就業規則の目的は社員を縛ることではなく、大切な社員を守ることにある。

規則はもしものときに活きる。

  

甘い規則では大切な従業員は守れない。会社も守れない。

 

だから社労士は就業規則で高い金を取る。見直しでも高い。質の良い物は高いのだ。(我が社は安い。) 

 

  ※モデル就業規則の注意点

マイナンバー提出

●降給処分の具体的事由

●連続休暇の事前届け出

SNS等インターネットを媒体とした投稿による規律

●賞与を支給しない場合の定め

●懲戒処分の具体性(事業性との整合)

●無断欠勤後音信不通者の退職処置

●再休職時の連続扱い

●業務引き継ぎの義務明示

そのほかいろいろ

 

 

付録やネットで拾った就業規則をコピペして使っているところもあるけれど、そんなもの使うくらいなら作成しないほうがマシだとも思っている。

  

(追記)

これから起業する人はたくさん情報を仕入れて、就業規則は拙くても自分で作成したほうがいい。修正点はあとから限りなく湧いてくるが、創業直後ならいくらでも修正できる。就業規則は労働法の基礎がたっぷり詰まっている。将来お迎えする社員たちのために、誰よりも社長が理解しておくためには自分で作成するのが一番だ。心配なら先輩経営者にチェックしてもらえばよい。

 

 

RESUS社会保険労務士事務所

山田 雅人

yamada@resus.co.jp