採用だけは妥協しない
採用で妥協してはいけない。
これは私が長く人事に携わって出した答えです。
そして、人材不足に悩む経営者にも同じことを言います。
急な離職や業務の増加で人員が必要になったとき、企業は必ず人材の補充のために求人活動を行います。
中小企業では他部署から異動させるわけにもいかず、とにかく猫の手も借りたい状況に陥ることがよくあります。
かわいい社員たちが忙しくしている姿を見ると、社長も手伝ってあげないと、、、と優しい経営者は思うでしょう。
従業員たちから、いつになったら採用してくれるんですか。などと責められることもあるでしょう。
しかし、それでも採用で妥協してはいけません。
自信をもって採用を決めた人材以外は採用してはいけません。
「悪くないしとりあえず採用してみようか。」という会社がよくあります。
こういう会社はずーっと人材で苦労する会社です。
そして、いつも労使トラブルを抱えています。
従業員は労働法で強く守られていますので、だめだったからハイ解雇!などできないことは今の経営者なら十分理解しているはずです。
会社は従業員の、「今と未来」の責任を負っています。
責任とは、従業員がミスしたり、問題を起こしたときに会社が従業員を守り、将来会社と社会の役に立つ人物を育成するパブリックな義務です。
小さなミスであっても「妥協して採用してしまった」人材は、やっぱり思った通りだった。といい、会社側に責任があると考えないものです。
企業の採用力の問題であるべきはずが、採用担当者は言い逃れし、個人は責任を負わされ、やがて問題を起こし、離職するのです。
会社が採用の責任を持つことで、人材は活躍し、会社に貢献してくれるようになります。
紹介での入社(リファラル)が効果的なことも同じです。
人で構成される組織において最も妥協してはいけない事項は、採用です。
人物像、会社との相性、能力や社会性など、会社によって異なる「理想の人材」を、人事担当者は責任をもって採用しなければなりません。
万一うまくいかなかったときでも、人を責めず、自らを責める姿勢でなければなりません。(事業活動の最終責任者は代表だけですので、代表でない人は気持ちだけ)
複雑に構成される人事は絶対法則など存在せず、少しでも成功率を高めるためには責任逃れの口実を事前に用意していてはいけません。それは、入社した従業員に対して無責任です。
自信をもって採用した人材は、多少のミスも可愛く思えるものですし、事業活動において個に寛大であることは全体の成長に必要な要件です。
大企業の人事担当者は会社から採用人数などノルマを与えられて大変だと思いますが、中小企業の採用においては常に網を張り、将来自社に貢献してくれる人材を探し続けなければなりません。予算がなくても無料の求人で活動は可能です。
採用だけは、妥協しないこと。応募者のなかから決めるような消去法で採用しないこと。自信をもって採用できない人は採用しないこと。自社にとって優秀な人材の獲得には根気が必ず必要なこと。これは鉄則です。
妥協しないことで、人も企業も成長するのです。
迷うなら、妥協するくらいなら、断るほうがお互いのためです。
情をもって非情を行うことも必要なことです。