働くことに思うこと

新大阪で起業した男の顚末まで

労働者をぬるま湯で茹でる労働基準法

労働者は法律で手厚く守られている。確かに間違いなさそうだ。

解雇制限だって、賃金支払原則だって、最近のハラスメント論だって働き方改革だって経営者に厳しい。しかし何と労働法を知らない労働者の多いことか。

労働者を守るための法律を肝心の労働者が知らず、経営者の方がまだ詳しい。なぜだ誰かの陰謀か。ちがう、会社が教えないからだ。

残業代の切り捨ても、有給を許可しないことも、なんとなく不満に思うだけで、明確な違法なのに仕方ないと諦めていないか。そこで経営者が教えたくない労働法。ではなく、もっと教えたくない強い労働者になる準備のご案内。

 

1.経営に近い層と繋がりを作っておく。

1.法律系の職業人とつながりをもっておく。

1.他人のために抗議する訓練をしておく。

1.自らもできる限り学ぶ。

1.転職サイトは常に登録しておく。

 

労働市場は売り手市場がまだ続く。いつどんなお話が舞い込むかもしれない。組織の上位職者は必ず他の上位職者とコネクションがあり、企業は常に人材に飢えている。実は優良企業には紹介からの入職が多く、求人枠の空きは紹介の採用で決まり市場には出回らない。不動産と似ている。しかも紹介であれば好条件も望める。つまり、キャリアップを望むなら変な奴でも上位職なら付き合っておくこと。反面ガキの集まりには決別することだ。

情報に疎い人間はいつの時代もうまく使われる(搾取対象の)弱者だ。法律は情報であり、友人知人程度でも法律系の専門家とつながりが欲しい。飲み屋で聞き耳を立ててればいつか発見できるが、出会えなければ知り合いの知り合いでもいい。そして会社で匂わせておくこと。それならば上司もビビッて無茶はしない(はず)。当然、人任せでは頼りない。自らも補完する知恵を身に着けるため勉強すること。私のオススメ本は森戸英幸先生のプレップ労働法。読みやすくて面白いから当社の従業員にも読ませている。

よくある過ちは、自身の不遇を会社に抗議すること。効果がないのは当然で、自分本位の抗議は限界がある。他人のために抗議する利他のパワーならば、どこまでも正義は我にある。人のためにエネルギーを使うこと(建前)は立身出世の基本でもある。同僚がいじめられていたら上司にそっと柔らかな苦言を呈してみよう。

そして万が一のため、背水とならない心の安寧のため、広く自分を売込みできる門戸を開いておくこと。選択肢は多いほうがいい。こっちの会社ではゴミ社員扱いされてても、あっちの会社でそうだとは限らないと信じることだ。ゴミ会社のゴミ社員が優良企業の優良社員になった例をいくつも知っている。自意識過剰な勘違いさんが優良企業からゴミ会社へ行った哀しい例もあるが伏せておく。さらに僕はゴミ会社からゴミ社員扱いされていたがいまは小さい会社で社長になっていることも知ってほしい。ゴミ社長かもしれないが。

結局、チャンスとピンチはセットで存在している。チャンスはピンチ。それも変化の醍醐味だ。

しかし頼れる強い労働者の周りには内外から人が必ず集まる。出世の孤立が先か、団結が先か。

そして強い労働者を中心として優れた個々が団結して最強になる。なおキングスライムのような力を過信して会社を事業停止に追い込んでは本末転倒なので手加減してあげてほしい。

現状に甘んじることなく、こっそりと爪を磨き、反撃できるように準備しておくことも対等な労使関係には必要で、すべては会社のためにある。経営者の暴走を抑止できる労働者が存在すれば、それは大変良い会社といえる。強い会社には強い労働者が一定数結束しおり、烏合の衆では弱すぎる。労働法のぬるま湯につかりながら爪を磨く。甘えたふりで必要な時だけ便利に使い分けることが、労働法の賢い使い方だ。そうすれば、会社も、個人も、道は拓けるかもしれない。

 

 ※本稿を鵜呑みにして不利益を被っても私は責任は負いません。

 

RESUS社会保険労務士事務所

山田 雅人