働くことに思うこと

新大阪で起業した男の顚末まで

AIの家畜となるか、AIを飼うか。

副業許可の圧力が押し寄せている。

 ワークライフバランスだの、働き方改革だの、サマータイムだの、労働時間是正だのと官僚に言われると、働くことはそんなに悪いことなのかと私のような古い人間は思うのです。っていうか厚労省は口だけで自分とこ超ブラックやんけ。

  そこへきてまた副業を許可しろしろアピールで、働かせたいのか働かせたくないのかどっちやねんとも思うのです。

 私も一応経営者でして、労務についても少しは齧っておりますので良いこともあるとは理解していますが、さて鵜呑みにした人たちが求める自由で多様な働き方について、老婆心から非常に危惧しているこの頃。

さてそんな当社は、副業は鼻から禁止しておらず、また許可もしていない中途半端な状態が続いております。実際に既にダブルワークの従業員もおりますので、「明文化していないが実質的に許可している」状態です。

 しかし、経営者という立場上、法律はしっかり守らなければなりませんし、許可するのならば当然条件も付けるべきだというのが私のスタンスです。世の副業者(複業含む)の半数以上は収入の増加が目的とのことですが、さてその収入は何に使っているのでしょうか。

 耳障りの良い標語に扇動され労働を否定している人たちの本業は何なのか、何がしたいのかという自己の指針を持たずに働く行為から逃げている人もいるのではないでしょうか。

豊かさはいらないから、自由な時間が欲しいというなら理解できますが、豊かさも自由も欲しいという人はいませんか?そんな都合よく世の中はできていません。あなたが得た自由はだれかの不自由によって成立し、その若く都合の良い自由の代償は、将来老いたあなたが負うかもしれません。一時の安楽のために、将来を犠牲にしていませんか?働かざる者食うべからずって知ってますか?

 

さて副業の条件を考えてみましょう。私の会社は事務専業ですので、頭をフル活用したデスクワークをみっちり所定時間行う必要があります。正直疲れます。

 よって第一に、業務に影響がないこと。は絶対条件です。

残念ながら人間は疲労する生き物ですから、業務外のことで睡眠不足や疲労によってパフォーマンスが下がることは禁止しなければなりません。

 それから、同日の労働であれば本業より後にすること。

これは、労働時間の算出は副業であっても通算すべきと法は解釈しているからであり、当然発生する割増賃金は通算して後の会社が負担することがルールとなっているからです。実態として把握できませんので守っている会社は無いようですが、短い時間しか提供していないのにいきなり割り増し賃金は経営者の立場からするとあまりにも酷です。他の社員との公平性も問題となります。社会保険と税金は見逃せませんが長くなりますので割愛します。

 そして、本業の機密事項を流用、又は技術を提供する業務に従事しないこと。

これも大切なことです。同業者へ行けば健全な競争原理の阻害となり、また情報漏洩は懲戒の対象となりますので許可することはできないでしょう。

 そんなこんなで、結局のところ労働に該当しないようなボランティア活動や経験値獲得のための多様な職業をチョイスして同時並列的に行うことが望ましいのでしょうがさて、本当にやりたいことがあるのなら、副業のような安全を踏みながら中途半端に実施して事をなすことができるでしょうか。兼業であれば収入ゼロのリスクを回避する方法としてアリですが、兼業等の多重就業は報酬支払者すべての了解を得ておかなければ後で面倒なことになることは言うまでもありません。

  

どうせならば目先の利益にとらわれず、将来の自分へ投資するために鬱になるほど勉強してみたり、自分の秀でた才能を徹底的に磨いてみたり、未知の世界へ無防備で飛び込んでみたり、アイドルオーディションに応募してみたり、器用な手先を活かしてオンリーワン商品を作ってみたり、関係のない他社で非常勤の取締役になってみたりしたほうが健全です。ちなみに、お金は無くてもアイデアと熱意があれば起業できます。社長になりたいならどんどん起業しましょう。

 言葉の響きに惑わされて将来の自分を犠牲にしないよう、副業も、本業も、しっかり将来の投資となるような選び方をすることが必要で、お金が無いと言い訳する人間はお金に縛られ、一生誰かに隷属して愚痴るだけで、充実した人生という喜びは見つけられないでしょう。

 ワークライフバランスって言ってるくせに、家でテレビ見てるだけならすぐAIの家畜となるし、誰でもできる簡単なバイトを掛け持ちする程度ならば責任のある仕事でスキルを高める苦労を重ねた方が良いでしょう。追い抜かれたら二度と追い付けないのです。

 

一日でも長くAIの先を走っていられるのは、日々努力と挑戦を重ねた者たちだけ。

 副業するなら将来の自分のために。世の中は苦労するほど甘くなる。

 

 

RESUS社会保険労務士事務所

山田 雅人