働くことに思うこと

新大阪で起業した男の顚末まで

有給休暇の取らせ方

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求人に沢山の応募をいただいて喜んでいる。

 

我が社は小さなベンチャー企業で、新入社員は一般的には中くらいの待遇だが、それでも魅力を感じてくれるのは、有給休暇があって、休日が多いからだそうな。(応募者より)

 

応募者の前職(現職)では、サービス残業やサービス早朝出勤やサービス休日出勤(以下総じて「サービス労働」という。)が多かったり、有給が無いとか、よほどの理由でないと有給を許可してくれないなどと、なかなかタフな会社に勤めている方が多い。有給休暇や労働時間管理を間違えている会社は総じて離職率が高いと感じるのは私だけだろうか。

単純作業の誰でもできるおしごとの会社ならそれでもいいのだろうけど、そうでないのなら離職は経営的に相当痛いはずなのに経営陣はなぜわからないのだろう。

 

有給休暇を完全に消化している「普通の」会社は皆長く勤めているのか、我が社には来ないのでわからないが、実態として統計上の4割は実感なく、私の中では小企業の有給消化率は限りなくゼロだと思っている。労働者側へのアンケートで統計を取ってほしい。

 

サービス労働バリバリで人が続かないと嘆いている会社は救いようがないが、それでは私の強い正義感が許さないためどうやって有給休暇を取らせるか。零細企業でも余裕で実施できる我が社の方法を列挙するのでちと多いが嘆く経営者はぜひ一読してもらいたい。まだ救いようのある経営者たちに贈る私からのラヴ・エール。

有給休暇の取らせ方。さあ読め。

  

①簡易な方法で申請できるようにする

 いうまでもない。上司のハンコが必要な書類など面倒な方法を設定していると会社が有給消化を妨害していると思われる。(事実妨害している会社もあると思われるが)

 わが社では共有のグーグルカレンダーに事前に有給とだけ入力しておくと100%成立している。

 

②管理者に消化率のノルマを課す

 人事マネジメント担当には100%達成することをノルマで課す。

 達成出来ないと嫌なことをネチネチ言う。

 

③自身の消化率と他人への寛大さを評価基準に加える

 人事評価項目に明文化する。休暇だけは自他共に甘くあるべきなのだ。どうせ仕事は厳しい。

 

④残有給を掲示版に張り出す

 有給消化の心理的圧力をかけるのだ。一昔前の営業会社のように、だ。

 

⑤余分に有給を与える

 足りなくなったことを想定してちょっと残すなどとセコいことを考えないように許可制の法定外有給を用意しておく。現在は入社時や全消化した場合に毎年5日は余分に使える。悪用するやつがいたら嫌なことをネチネチ言う。

 

⑥有給の法律を徹底指導する

 有給は法律で定められたすべての労働者に適用される権利で、なんぼ偉い社長でも与えないことは出来ない。そして、有給を使うことに会社側の許可は必要ない。会社はせいぜい本人の指定日を変更できるだけなのだ(変更しかできない)。

 買い取りなど考えてる会社はやっぱり発想自体がブラックなので頭を冷やした方がよい。そんな会社に働いている人がいるならタイムカードの写し取って手紙送って辞めちまえ。

 

⑦とらせないことは会社に損害を与える重大な問題と認識させる

 ワーカーたちを休ませることは人で組織された会社においては当然のことで、疲弊したゾンビばかりになると会社は腐る。腐らせないために休むことが職務上必要であることを理解させるのだ。

 

⑧引き継ぎを義務化して規則に明文化する

 休む日数に応じて当然引き継ぎが必要となる。事前の引き継ぎを訓練しておけば、業務が属人化することなく一石二鳥だ。当社では有給取得の際は1週間以上前の時季指定と、長期休暇・離職に伴う業務引継ぎを就業規則上の義務として明文化している。ついでに初めての有給付与者(入社から6か月)には立派な付与通知書と、有給休暇の権利についてお手紙を添えて渡している。当然の権利を大層に説明しただけで喜んで頂き、経営者としてこんなオイシイことは無い。普通喜ばせるには金がかかるものだ。

 

⑨取得理由をいちいち聞かない

 有給はどんな理由で取得しても良い。遊びでも、ゲームでも、デートでも、何もせず家でゴロゴロしていてもよい。いちいち聞かれるとウザい。私生活に関与されたくないし、野暮な質問はしないのが大人だ。しかし他所での労働のために有給消化することはよくないことなので最低限の教育は必要だ。

 

⑩長期休暇はかっこいい

 日本のサラリーパーソンは暗部を知らずにヨーロッパのシエスタやバカンスに憧れている。しかし理屈抜きで長期休暇はかっこいい。用事なんかなくても取って欲しいが我が社の従業員は二週間で退屈の限界が来るそうな。情けない。しかし産休や傷病休暇など長期離脱の事前訓練としても効果的で、採用戦略上も超効果的なので有給使わせて長期休暇させることは実は会社のメリットが大きい。長期休暇で採用費は安くなる。わかる?

 

⑪使い切ってもすぐ復活することを理解させる

 毎年1日プラスされて発生していく。毎年使い切ることも大変なことに気づく。使え使え言われて逆にストレスになるのだ。ざまみろ。

 

⑫繁忙期には使わせない、閑散期に使わせる

 忙しいシーズンの消化は時季変更権を行使する。会社の最大の抵抗だ。わかってるから誰も使わない。

 (ホントはちょっと忙しいくらいで時季変更権行使しちゃだめ)

 

⑬業務のスキがあれば使わせる

 従業員の出勤予定はチームで共有させる。つまり、誰も休んでいない日に休むのは先取り特権だ。先輩後輩関係ない。有給は等しく労働者に与えられた権利なのだ。

 

⑭ちょっとずつ使わせない。まとめて取らせる

 労働から完全に開放され、仕事なんて完全に忘れて無心になれるまでに会社員は相当の時間を要する。無心になってリセットすることでアイデアがひらめくことも稀にある。アイデアは遊びから生まれてくるのは今昔普遍である。無事帰って来ることを祈るのみ。

 

⑮社長も休む

 社長も休む。目障りな社長などいないほうが社員たちもよく働く。我が社は全員が自立しているので私の存在など興味がない。認めたくない確固たる現実を認めることだ。

 

 中小企業では高い給与は払えなくとも、休暇や福利厚生などは大した経費にならない。無駄使いでもなんでもない。当たり前のことをしているだけで、社員たちは機嫌よく働いてくれるし、たくさんの求職者が応募してくれるのだから実は会社的にはオイシいのだ。

  

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