就業規則は意外と大事
会社員のみなさまは就業規則を読んだことがありますでしょうか。
実のところ、私も会社員時代は就業規則なんて一度も読んだことがなく、
3回ほど転職していますが、そのうち就業規則(の表紙)を見たのは1社だけでした。
私が極めてバカなのではなく、会社員はみんなそうで、どこの中小企業でもそんなものだと思いますが、
実は就業規則はただのお飾りではありません。
とっても大事なものなので、
会社員のみなさまは写しを入手して自宅に保管し、
経営者のみなさまは最低でも毎年はチェックして、現状との整合を図りましょう。
閲覧のみで複写不可などという会社もあるそうですが、すでにブラックな香りがしますのでさておき。
憲法論は置いといて、ニュアンス的には的を得てると思います。
会社にはいろいろな人たちが働いているわけですが、いろいろな人たちがいる分だけ、いろいろあるわけですね。
そして、いろいろある中でも特に問題になった時に、何を基準に判断するかというと、就業規則をもって判断されることになります。
ちなみに、じゃあ「就業規則に一日10時間働かせてサービス残業も強要する。」とかいてあれば有効なんか?どうなんや?といわれますと、当然無効です。残念。
なぜなら労働基準法等の法律で定められた最低基準があり、その基準に抵触するものはすべて無効になるからです。
裏をかえせば基準を守っていれば、基本的には就業規則には何を書いてもよいことになりますな。
その基準は大変厳しくルール化されていますが、例えば遅刻したら罰金1000円などとルールにしている会社があるとします。
労働基準法では、こういった「減給の制裁」についても基準があり、
減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払い期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない。
と書かれています。要は、金銭的な制裁には上限も決めているわけですね。
しかし、この上限までの範囲内で罰金を取ることにしても、勝手にむしり取ってはいけません!!
キチンと就業規則に記載がなければ、制裁は認められませんので法律違反となり、むしり取ったお金は返さなければならないわけです。
ちなみに、遅刻欠勤を繰り返す従業員はどう扱うか。について当社では、ノーワークノーペイの原則通り、来なかった時間は給与を払わない方法(不就労控除)をとっています。感情ゼロで事務処理するんです。
みんなそうすればいいじゃんと思うのですが、分単位の時間でキッチリ不就労控除すると、残業代が30分刻みとか割とどこでもやってるような法律違反で反論されるので黙って勘定しているんだと思います。
つまり、善悪問わず従業員にとって不利益な扱いをする場合の根拠は、すべて就業規則に書いてあるかどうかに依る。
ということです。
就業規則を根拠にするためには周知義務(いつでもみれるようにしてあるか)など、経営者にとってもしっかり押さえておかないといけない要件がありますので、うっかり要件不足のまま解雇なんてしてしまうと、相当な期間ビビって過ごさなければなりません。
経営者も就業規則を軽く見ていますが、社労士に就業規則を頼むとものすごく高いのにはちゃんと理由があるんですね。
従業員達を愛していても、性悪説でしっかりルールは作るべきです。
それだけ大事な書類ということです。私は経営にとって一番大事な書類だと思ってますよ。
RESUS社会保険労務士事務所
山田 雅人
yamada@resus.co.jp