中小企業ほど体験入社を実施しよう
さて、当社のような小さな会社にもたくさん応募いただき、採用難時代に大変ありがたいなーと思う日々。
面談する方とお話しする場合は基本的に世間話や当社の事実を伝え、本人への質問はあまり行わないようにしています。
少し時間がたってくると、緊張がほぐれて質問も出始めます。
特に気になるのは、実際のところ従業員たちはどう過ごしているか。だと思います。
そこで、当社では最終面接まで残った方で希望する方へ、体験入社を実施しています。
体験入社も募集どおりの時給をお支払いしています。
一日社内の雰囲気をみて、社員たちと会話すれば、面接時に会社が偽っているかどうかは見抜かれます。(ここでいう偽りは、求職者にとっての体感的なものです)
この体験入社制度、法律では特段定められたものではなく、賃金についても規定されていません。極端な話、無給インターンシップなども実施している会社もあると聞きます。
無給インターンシップ。その時点でアウトな気がしますが、ほとんど実施しているのは大企業なので苦しい就活生は盲目的になっているのでしょう。
さて従業員の離職が経営に与えるダメージを考えると、当然少数事業者のほうが大きくなります。
10人未満の事業者は、コア人員1名が離職した時点で活動不可能となることもあります。
ミスマッチによる短期離職は労使双方にとってマイナスでしかありません。
すでに民間会社によって、口コミや定着性が公開されつつあります。
会社の良し悪しは定着率に顕著に現れますが、無駄な離職が多い会社は確実に採用難に陥り経営を苦しめます。
ここで離職理由を強引に分類しますと、
①待遇不満(賃金・労働時間)
②人間関係(パワハラ・嫌がらせ)
③引き抜き・独立
④家庭の事情(介護・育児)
⑤会社都合(リストラ)
⑥懲戒(義務違反)
そのうち多いものが①と②によるものです。
募集条件と異なった労働契約を提示された例もよく聞きます。
(この時点で会社を処分する方法は高難度)
労働契約は正直に行うことが重要ですが、言ったつもりでも伝わっていないのが人間関係の妙味です。
そこで当社で実施している体験入社のルール(すべて書面で確認)
①身元を十分に確認する事
②厳格な機密保持契約を十分説明し締結する事
③労働契約が前提でない旨十分説明を行うこと(内定ではない)
④来社時は往復交通費と滞在時間の時給支払いをお約束すること
⑤当日の身体拘束力は会社に無く、自由に帰宅が可能であること(入社する気がなくなったらすぐ帰る)
⑥昼食費は会社負担とすること(これはサービス)
以上の事項を注意して体験入社を実施することで、入社後のミスマッチは確実に減少します。
また、既従業員も人事に携わっている実感で適度な緊張感が生まれます。
ちなみに、勘定科目は「雑給」でよいでしょう。
小規模事業者ほど人事は真剣に、施策をもって取り組まなければなりません。
人事能力(ひとを見る目)は誰しも無いと理解し、制度でカバーしましょう。
入社体験者に断られたら、反省して改善を考えましょう。
人材は組織次第で優劣が決まることを理解しましょう。
(社員の出来が悪いのは会社の出来が悪い)
中小企業ほど体験入社を実施しましょう。当社の離職率はゼロです。(いまのところ)