働くことに思うこと

新大阪で起業した男の顚末まで

筋肉トレーニングと経営者のメンタルヘルス

お久しぶりの更新です。熱心なファンの皆様お待たせしてしまって申し訳ございません。近況の報告です。

コロナとの付き合いももうすぐ2年になりまして、すっかり生活スタイルが変わってしまったように思います。

私事でございますが、毎週一度はあった外食の機会はほぼなくなり、東京や北海道や九州の毎月2日程度の出張もすっかり無くなり、ついでに恋人も仕事も失いまして(今は回復しました)、休日には朝から酒をかっくらい、昼前には泥酔、夕方まで気を失って寝ている生活を6か月ほど続けておりました。40代の身体は人生最大となり、100キロに迫る勢いで肥大を続けておりました。休日になるといつもより早起きして酒を飲み始めるという完全なアルコール依存症に罹患し、身も心もボロボロになるかと思いきや、結構丈夫な我がヴィーグル。もともと肉体的精神的にもタフを自称しておりましたが、平日はアルコール依存症とは思えぬ回復っぷりをみせておりましたが100キロはさすがに経営者として問題があるかもしれないと一念発起し、ジョギングを開始しました。

ところがこのジョギングというやつが厄介で、高校生の頃は毎日10キロ程度ハイペースで走っていた無駄なプライドが足を動かすのですが、当時は体重70キロの細メンで、新たに30キロを背負った肉体には過酷すぎたらしく2か月ほどで膝が完全に破壊され、歩くのもままならない状態が2週間ほど続きました。辛かったですね。

 また鬱々とした日々に戻るため自宅でハイボールを飲もうと近所のファミリーマートまで足を引きずっていますと、コロナの影響か潰れた自宅から徒歩3分の飲食店に新たなテナントの張り紙が。そう、世界中で拡大を続けている24時間フィットネスジムの「エニタイムフィットネス」ができるとの予告が。これは神のお告げ。

早速筋トレ本を買いあさり、入会したのが5月の末のこと。

アルコールとから揚げでまるまると太った私のわがままボディは6か月で70キロ台に回復し、実に15キロの減量をさらに更新しているところです。

さて、筋トレしている大人を見かけることは日常ではほとんど見かけませんが、筋トレの有用性については本当に素晴らしいものがあります。40代の運動未経験男で経営者の私から見た筋トレの良いところについて、ご紹介させてください。悪いところはしんどすぎることと時間がどんどん長くなっていることだけです。

①自己肯定感が半端ねー

 経営者はある程度の自信がないと創業できませんが、根拠のない自信は経営を続けているとボロボロに削られて行きます。なぜこんなことができないのかと自分を責め続けて自分に自信がなくなるわけですが、トレーニングは、「続けることに意味があり、確実に成果が出る」珍しい行為です。続けても成果が出るとは限らない不条理な人生で唯一無二の、確実性があります。もちろん、初心者は初心者の重量がありますが、心拍は上がり、筋肉がけいれんし、止めろと叫ぶ心を無視して挙上する苦しみは上級者のボディービルダーも同じ(たぶん)と言います。人生で最大の苦しみは二日酔いであると思っていましたが、重いバーベルを担ぐスクワットに比べれば二日酔いなど屁の匂い以下、なんなら、経営よりもスクワットの方が苦しいと思えるでしょう。こんな苦しいスクワットを何度も繰り返せる自分はやはり、続ける才能があり、経営者として(結果は出ていなくても)優秀な素質があると肯定することができます。

②腹筋は割れている

 腹筋を割りたいという人は多くいますが、既に腹筋は割れていることを知っているでしょうか。割れた腹筋を露出するさせるためには、体脂肪率が重要であり、腹筋ばかりやっていても腹筋は割れない事実、衝撃でした。

これは、経営にも当てはまることで、もともと経営者や事業体質は頑丈なはずなのに、余計な贅肉が付くと運動能力(つまり、生産性)が機能しないことを表しています。筋肉質な経営というよりは、無駄の無い引きしまった経営にこそ生産性が露出されるものであることを体で感じることができます。

③表面には騙されないぞ

 メディアに出演している中山きんに君や横川氏など、ムキムキタレントはちょっと抜けてておバカキャラを売りにしています。筋トレを始めればわかりますが、「アホではムキムキになれない」ことに気が付きます。それは、先にも述べたような、目標のために苦痛に挑む勇気、苦痛を続ける継続力、適格に筋肉をつけるための肉体構造の基礎知識、難易度の高い運動を繰り返すための反復練習、これらを続けることができる人がおバカなはずがありません。つまり、見ている私たちに併せて道化を演じているだけなのですね。パワー!!恐るべし。

④良い意味で、自分と向き合い、反省する

もちろん私はいかなる経営環境の変化(不振)にも耐えうる健康な肉体を手に入れるために筋トレを行っているため、モテることは多少の期待はあっても目的としておりませんが、筋トレは余計なことを考える余地などありません。目の前のバーベルに集中し、呼吸を整え、無心で一気に挙上するこの繰り返しは、常に経営のことばかりを考えている経営者にとって寝ている時間と泥酔している以外で完全に忘れることのできる方法といえます。ジムに行くとムキムキのゴリラみたいな人がたくさんいてビビりますが、ビビるのは最初だけ。そのうち全く気にならなくなります。なぜなら、重いバーベル、辛いマシンを目の前にして、他人のことを気にする余裕は無いわけですから。昨日できたことが今日できなかったりするが、長期的に見ればできるようになっている成長はスポーツはわかりやすくていいですね。勉強はいつまでもわからないし、勉強するほどアホになった気さえしますからね。これ言うと引く人おおいですけど、ベンチプレスの挙上重量が10キロ伸びるなら、モテなくてもいいです。

(40代初めてのトレーニングメニュー)

◎初めての月(週3日×1時間)

チェストプレス20キロ×10×3セット

ラットプルダウン 25キロ×10×3セット

シーテッドロー 25キロ×10×3セット

◎6か月のいま(週4日×1.5時間 ※フリー種目はじめた)

ベンチプレス 70キロ×10×3セット

バーベルスクワット 80キロ×15×3セット

ダンベルフライ 18キロ×15×3セット

調子よかったら適当なマシンで遊んで帰る。

 

まだおなかの肉は取れないけど、まあ、目を細めて遠目で見れば許せる体。

とにかく体の調子が良いし、起きてる時間はずーっと頭がすっきりしてる感じ。昼寝はする。対人関係(客含む)で揉めなくなった。社員にも超優しくしてる(つもり)。

ちょうど5年くらいの経営者は自信もなくなりそうで不安が多い気がするので、筋トレはぴったりだと思うよ。

 

40万円の就業規則を見て思ったこと

私も経営者の端くれにつき、同じような端くれ経営者と無能を慰めあう機会がある。

半年ほど前にも大して親しくも無い零細企業(社員数3名)の自称人材関連という何をしているのかわからないジャングルのような事務所に毎日18時間滞在している完全にイッちゃってる社長と駅でばったり合った。常に事務所にいるはずのこの男がなぜ公共の場にいるのかと思ったら、マクドを買いに来たらしい。あーなるほどマクドを買いに来たのねご苦労さん。お前の町にはマクドも無いのか。いや、マクド食うためにわざわざ電車に乗るとはなかなかの準引きこもり。お前は本当に社長かと疑うが、たぶん社長だ。だって、3年ほど前は社長と呼ばれていたから。

さて、明らかに私より儲かっていないマクド食う社長が晩飯をおごってやるから一度事務所に来いということなので半年放置し続けたがアポをすっぽかされてあまりにも暇な休日ついでに狭い事務所を覗いてやることにした。

いつ来ても陰鬱な気分になるこの小さい格子窓の事務所。本当に事務所として契約できたのか。バブル期に謳歌した末〇興産を彷彿させる違法建築バリバリの狭く薄暗い刑務所のような事務所でぬるい麦茶を飲みながら、いたはずのいつも青白い顔の従業員が使っていた既に荷物置き場と化したデスクに座って話を聞いてみる。前にいた母子家庭の事務員の悪口、前にいた営業のおじさんの悪口、前にいた生意気な取引先の話。コイツは昔から自意識過剰で数年前に亡くなった偉い親父様の遺産でほとんど毎日株取引にいそしんでいることを自慢げに語るが、そんな話に辟易しながらも何とか晩飯にありつくための機嫌取りとして従業員の雇用の可能性を聞いてみる。お前のようなクソブラック思想の会社に誰も入社しないことを祈りながら。するとなんとも不思議なことをいう。

「せっかく就業規則に40万円も払ったんやからやっぱり雇用せなあかんわな」

なんと。こいつのようなクソブラック思想社長にもそんな立派な心構えがあったのかと感心したと同時に、今時零細企業に40万円も支払わせた魅力的な就業規則にメキメキと興味が湧いてくる。せっかくなので見せてもらうことに。

どこの中小企業にもある薄汚いグリーンのファイルに綴じられた決算報告書の横に並べられていた就業規則を伸びた爪で引き寄せる。爪が伸びていて気持ち悪い。かつて超大手メーカーの就業規則をチェックさせられたことがあるが、そういえばあれは200ページ以上あったろうか。これはホチキスで止めたものを50円の帯付きクリアファイルで挟んだだけの簡単なものだ。特に変わったところは無いが、なんだか薄い。ページは20ページほどか。まあよい、規則の値打ちは装丁ではなく中身なのだ。内心ドキドキするが冷静を装い拝見させていただく。私の作る就業規則の倍以上する就業規則とはどんなものか。

裏表紙には奇妙な手作りの社労士事務所の紙が糊付けされている。これはあのブラック事務所で有名だが元生命保険会社ですさまじい売り上げを上げていた無名だが有名なイケてる女がいる事務所だ。私も会合であったことがあるが確かにイケていた。口癖は、「やだ~すご~い」、「おもしろ~い」、「さすがです~」だ。私に言ったわけではない。隣のおじさまが機嫌をよくしていたのを拳を握り締めながら聞いていたので覚えているのだ。

そんなことはどうでもいいが、とりあえずは中古の軽自動車が買えるほどのこの薄っぺらいコンフィデンシャルに何が詰まっているのか。鞄に長年隠しておいた黒糖飴をこっそりと口に含み記憶力を強化する。飴を転がす余裕は緊張の現れ、すべての文章を記憶し、パクる決心を悟られないようにしなければならない。何故ならコイツはいつだってケチでいちいちカネの話をしてくるからだ。ケチで爪が長いのだから当然、10年以上恋人などいない。慢性的な睡眠不足を理由に実家にデリヘルを呼ぶ根性はあるが、女性をデートに誘う勇気はない。さあ拝見。

文書は一ページ見ればわかるというが、珍しく私にもよくわかった。

昇格(昇給)だけで降格(降給)の定めが無い。懲戒規程がモデル規則のまんま。当然無断欠勤の扱いが無い。病気による休業期間3年て長すぎ。バイトテロの規則も無い。正社員は賞与あるのにパートには賞与無い。まさかこれは典型的なダメダメ就業規則か。自作ならまだしも、まさか大枚をはたいてこれなら私なら突き返して尻を強く叩くレベルだ。腫れ上がらない程度に。しかし私も晩飯の手前がある。決して機嫌を損ねる発言をしてはいけない。

 

「さすが高いだけあって勉強になるわ」そう言おうと思った瞬間、

 

「それ作ってくれた担当の子、辞めちゃって~ん。ざんね~ん。」

 

そうか。この町にマクドは無いのか。この町で一番高い店つれてけ。爪切れ。

 

 (この話は70%がフィクションです)

 

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都会の田舎はなぜこんなにブラック企業が多いのか

都会の田舎とは、田畑の広がる美しい田舎のことではなく、高層都会から少し離れた地方都市(非都会)を指す。決して認めたくないと思うが、地方都市で働いている人たちはブラック企業が多いことを薄々感じている。自分の町は都会だと信じても、働く体は拒絶している。生まれた土地で働くこと自体が田舎特有の族社会だが、さて田舎はなぜブラック企業が多いのか。それには理由がある。小規模事業者比率の圧倒的高さにある。

人の集まる都会では当然に、人もビジネスも集まるため、優れた事業性であれば小規模事業者の単位は一瞬で過ぎて肥大していくが、田舎の事業といえば、理美容院か飲食店か診療所か不動産屋か小売店か物流倉庫(工場)くらいしかなく、革新的なビジネスの先端を展開しているところはまず超レアとなる。さて小規模事業者だとなぜブラックになるのか。明確な理由がある。

1、社会保険の加入義務がない

2、労働時間の特例が認められる

3、監査する第三者がいない

まだよくわからないかもしれない。一つずつ確認してみよう。

1、社会保険の加入義務が無い

社会保険の加入義務があるのは法人格を持った組織又は、一定の従業員数を満たした場合だけで、例えば従業員5名未満の小売店、飲食店、美容院などのサービス業は個人経営であれば社会保険に加入する義務が無い。つまり、会社であれば当然負担しなければならない社会保険料の半額負担を免除されているのだ。過半数の労働者に同意(任意適用同意書)を締結し、年金事務所へ届出(厚生労働大臣の認可)すれば社会保険に加入することができるが、そんなことを考える個人事業主はまずいない。サラリーパーソンの最大のメリットともいえる社会保険に加入していないのだからそれは間違いなく社員ファーストの思想は持ち合わせていない。社会保険に加入すると損だという言う人も多いがどういう理屈なのか知りたい。家族の社会保険に扶養されるならば得と考えるのは勝手だが、将来もらえるかどうか分からないと言って国民年金も健康保険も加入しない世捨て人を選ぶのなら得とは言わない。阿呆と呼ぶのだ。ちなみに任意適用は健康保険と厚生年金保険のどちらか一つを加入することもできる。

 

2、労働時間の特例

通常は一日8時間、一週40時間が労働時間の上限というのはよく知られているが、小規模事業者の場合には特例として一週間の上限が44時間と認められる業種があり、これがまた厄介で、知ってか知らずか解釈を激しく拡大して運用しているところがある。

ちなみに特例となる事業所は限定されているが、業種が混在しているような場合、たとえば「不動産仲介業(40時間)」と「不動産管理業(44時間)」のどっちもやってる場合などは主たる事業をもって判定することになっている。これがまた悪用しやすい。一日8時間であれば、週5日、完全週休二日制としなければ普通は経営できないが、特例対象事業所は土曜日もあと4時間働かせることができる。ところがちょっと待ってほしい。4時間をタダで働かせることは当然できず、4時間分の賃金は加算しなければならない。当然、最低賃金(大阪は現在936円、2019年10月から964円)をクリアしなければならないが、これがまたインチキする会社が非常に多い。一週44時間ならば一か月(4週間)で最低でも大阪なら164,736円支払わなければ法違反となり、残業があれば1分単位で25%以上を加算した割増賃金の支払義務が発生するが、これもまた変形労働時間制という制度をマネて支払いを免れている。変形労働時間制は極めて厳格な要件があるが、田舎の中小零細事業所はこの要件を満たしていないことがほとんどだ。つまりは、小規模事業者になると法律の要件が緩和されることを悪用してめちゃくちゃしているのが実態だ。そして、働く人たちも労働法がよくわかっていないので歯止めがきかない。

 

3、監査する第三者がいない

通常企業間取引では適切な法律順守体制をある程度チェックされたうえで取引を開始する。そりゃそうだ。反社会的勢力や法律違反でしょっ引かれるような企業と付き合えば必ず自社もダメージを受けるのだから。しかし、田舎の小規模事業者はほとんどがBtoC主体の事業であり、内部監査機能や取引先など第三者からのチェックが入ることは無い。そして、監督署もあまりに小粒の事業者をひとつづつ回っているような暇は無く、明確な法律違反の申告がない限りある程度の規模(法人格がある、従業員が5名以上いる)以上しか『相手にできない』のだ。通常の企業は「取引先」、「行政監督」、「経営陣」、「従業員」から遵法体制をチェックされるが、田舎の小規模事業者でチェックするのは「経営陣」と「従業員」という、極めてアンバランスな体制となり、「所有と経営の分離」という経営の基本も知らない経営陣に従業員が立ち向かって是正するには相当なエネルギーと無駄な時間を要する。つまりは監査機能がゼロなのだ。

 

これを読んでまだ田舎の個人商店に勤務したいのならばそれは勇猛果敢で素晴らしいが、田舎の小規模事業者はほぼ確実にブラック企業だ。その無駄な時間を少し電車に乗った普通の規模の企業で使えば、しっかりとした『まともな』企業経営の一旦を感じることができるかもしれない。田舎で貴重な時間を浪費せず、都会で働くことが現実的にはブラック企業を回避する確率を高める。若者よ、都会で働け。しかし残念ながら、都会にもブラック企業は沢山あるぜ。

 

 

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起業だけは絶対にしてはいけない

私の会社も無事三期目を迎え、ようやくベンチャー企業を脱出できるタイミングが近づいてきた。そんなが私がお勧めしない起業のススメ。起業を考えている人たちは絶対に起業してはいけない。鼻息荒い皆さんに絶対に起業してはいけない理由を先輩の私から述べていこう。

 誰も責任を取ってくれない

会社員時代には上司や先輩が存在していたはずだ。起業して社長になると、その組織のトップは自分ということになり、上司や先輩は存在しない。あらゆる責任が自分のところまで回ってくるうえ、些細なミスなら大したことなかった会社時代と違い、自分の意思決定は鎮火にも炎上にもなる。そして、辞めるという選択肢は基本的には存在しないため、責任は取っても辞めることはできない。会社員時代に君が無事に存在できたのは、立場を準備してくれた会社や上司の存在だと知り感謝する。まずは謙虚になれるのだ。 

お金の不安がいつも付きまとう

事業を開始するのに十分な資金を用意できる恵まれた環境の人は少ない。運良くはじめは資金に余力があったとしても、雇用や納税によって瞬時に残高は減っていく。経済活動の全てにお金がかかっており、会社は存在しているだけで多額の金がかかる。キャッシュの勉強をしてもキャッシュは増えない。お金のありがたみと大切に使うことの精神が鍛えられる。

事業にトラブルはつきもの

事業を開始すると、まるで異質なトラブルが発生する。PC等のトラブルにしても、専門業者が常に待機してくれているわけではないため、自力で回復させる必要がある。業務多忙な日に従業員が風邪で休むと、自ら対策しなければならない。閉店して対応することはBtoBでは絶対にできない。何とかする力が身につく。図太さも。

取引先と対等に付き合えない

会社員は相手も会社員だということを理解しているため、「こいつにすべてを任せる」ということは基本的にしない。あるとしたら口だけだ。よって、「自分は組織の歯車なんで上司に確認しないと無理っすよ~」的な弱腰でヘラヘラ飲み屋でお付き合いしておけば気分は対等なのだが、経営者は違う。譲歩は自己の利益を減らし、強欲は事業の命を短くする。値決めの最良ラインを押さえることが必要なため、ビジネスで対等は存在しない。Win-Winも誰かが多く取っており、公平な分配は幻想だ。しかし、心構えだけは対等・公平でいようという優れた精神性が身につく。

人が集まらない

組織に所属していれば勝手に人が減っては増える感覚になる。採用も、退職も、自分の裁量は大きく影響していないからだ。しかし事業主となると、全ての人事に決定権が及ぶ。当然、採用するしないだけではなく、まず人が来ないという状態は必ず経験する。ともに歩んできた創業メンバーたちに大きな負担を負わせてExitされてしまうとベンチャー企業なら一発で消滅するだろう。是が非でも人員確保しなければならないのに人が来ない場合、どうすれば人が集まるか、どんな会社なら応募してくれるのか。労働環境に対するリテラシーが高まる。いままで偉そうにしていたメンバーに感謝が溢れ、人格が磨かれ、優しい人間になる。

倒産の恐怖がいつもある

些細な事、例えば顧客からの注文や問合せが少し減ったとき、ホームページのアクセスがいきなり落ち込んだ時、大切な社員に辞めると言われた時、多額の納税通知書が届いたとき、金融機関に融資を却下された時。様々なシーンで常に倒産の文字がチラつく。未来のことはだれにもわからない。過去自分がどれだけ頑張ってきたか、将来を恐れて踏み出さない方が愚かであると繰り返し自分に言い聞かす。そうしているうちに自分が好きになってくる。大丈夫大丈夫と思っていれば、案外大丈夫なことを知るのだ。日ごろの積み重ねがいかに大切かをよく理解できる。堕落とは強制的に決別できる。

言い訳は通用しない

経営上起こる出来事の全ては経営者に起因する。会社員の時は組織の文句や上司の決裁ミス、他部門へ責任をうまく擦り付けることができる。とにかく立派な言い訳さえしておけば、もしかしたら自分の評価は下がらないかもしれない。責任転嫁のロンダリングで責任を消滅させることだってできるかもしれない。しかし、経営者に言い訳はできない。事業の全ては自己に起因していることを突き付けられているからだ。よって、言い訳などせず、真摯に受け止め、反省し、今後同じことを繰り返さない骨太オトナの精神が身につく。

孤独である

経営者は孤独だという。間違いない。事業の成長の全てを担っているのだから当然だ。最高経営責任者というよりは、最終経営責任者のほうが中小企業社長の呼び名はしっくりくる。孤独だからこそ、沢山の信頼できる従業員や取引先、家族や友人が欲しいと強く願うため、吹けば飛ぶ屁のような権力に胡坐をかくことなく、謙虚に、勤勉さを求め、常に明るく務めるのだ。

無力すぎて泣く

組織ではハイパフォーマーだった人物も、経営者になるとうまくいかない。当然だ。何もないからだ。整備されたグラウンドで立派な道具を用意されているのと、全くの荒野では勝手が違いすぎる。自分が如何に恵まれており無知であったかこれほど痛感することはない。夜悔しくてすすり泣く。弱者であることを知り、あるものを探し、他人から学び、わずかな元手を最大に活用する知恵を絞る。なぜなら、それしかないからだ。モノやヒトを大切にすることを学ぶ。

 

ここまで読んだならすでに起業の鼻息はしずかになっているだろうが、こんなにもつらいことをすべての経営者は経験している。もしも君が起業に踏み出したのなら、燃える野心で踏み出す勇気と、謙虚な性格を兼ね備えた優れた人物になっていく。そんな人間が増えると私が霞む。もしも後輩の君の会社が私の会社より大きくなってしまったのなら、他人を気にして生きている私にはあまりに辛すぎる。だから起業だけはやめておけ。起業するのはやめてくれ。追い抜かないで。

 

 

既に起業してしまっていたら☟

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職場のハラスメント問題は起きてからでは解決しない

当社に訪れる一般相談の半数はハラスメントなど人間関係の相談だ。無視などの嫌がらせ、性的言動(下ネタ)の飛び交う職場、毎日飲み会、退職強要、金返さない上司、中には部下にキスされたなんていう香ばしい相談もあったが、本人は極めて深刻な悩みを抱えている。弁護士に相談しても相手にしてくれないとか、社内の監査部門に報告しても何ら改善がないと、結局辞めてしまう人が多いのがハラスメント問題の結末だろう。

私は中小企業の定着性を向上させ、企業の生産性を高め、利益の増大による一部を報酬として頂いている仕事柄、離職については私の利益の大元から絶たれてしまうため、自らのために企業にあーだこーだ言わなければ生きていけないが、未払い残業代などのように、基本的に数値化できるものと違って心的なものは大変な難しさがあり、なかなか解決したのかしていないのか自分でも満足な成果を得たことはほとんどなく非力さを感じている。やはり労働者側が勤務先の襟を正すためには自ら出世するか、もしくは団体交渉のような集団によるガバナンスへの圧力によるところしかないのだろうか。と思ったら、先日、トップマネジメントからセクハラ行為(女性職員からの通報)の疑いがある管理職の問題について相談があった。企業のトップがハラスメントを外部に相談する器量には大変感服したが、残念ながら事が起こってから慌てても現実的には解決しないのがセクハラ問題だ。何もしなければ従業員の信頼を失うし、感情任せに処分を下せば今度はセクハラの行為者自身から会社を訴えられてしまうドツボにはまる。職場の秩序維持には下準備が必要だが悩ましいのが、行為は悪だが仕事はできると事業主側でも思い込んでいるところにある。セクハラ野郎なんてクビにすればいいと断じて済むほど経営は単純ではない。仕事できない新入社員たち、将来の幹部たちの成長を見ることなく離職してしまう即効性の高さで事業は大きく機会損失しているとはまともな事業主なら当然に理解しているが、その日まで待てないのが中小企業。本来異なるはずのどっちを取るかの二元論になりがちなのがつらい。まずハラスメントを平気で行うような下衆な精神性(教養ともいう)を持った人間を上位職に任命してはいけないという根本的問題は今後反省するとして、社歴が長く、貢献度も高く、要職に据えた人間のハラスメントに対する処分は事業運営の観点から悩ましいのは当然だ。知恵もあるため、『この程度ならばセーフ』というラインを知っていて行っている可能性もあり、そのラインが部下たちと乖離してしまっている場合に常にハラスメントは発生している。つまりは、自分に甘い、もしくはいつの間にか甘くなってしまった点に一つの根源がある。言っても遅いが、このレベルはアウトと踏みとどまる上司と、この程度なら許せるという部下のお互いのギャップが常に重なっていなければどこかの隙間でハラスメントは発生する。オヤジだとか、キモイとかいった類のものではなく、教育されなかった大人が地位を得ると性格が歪むのは今昔普遍の人間の業の深さ。と言ってしまうと終わるので、経営上の対策についてよく考えてみたい。優れた会社ではそもそも教育も、対策もきっちり行っているが、中小企業レベルで本気でハラスメント撲滅に取り組んでいる企業は残念ながら見たことがない。多くは口ばっかりか、事実をなかったことにしてキラキラ職場を装飾しているのが現実だ。しかし私たち経営者は、ベストな環境を用意し、従業員の気分を害することなくできれば機嫌よく、全ての従業員に限られた時間で最高のパフォーマンスを発揮していただき、何もしていないくせに利益をかすめ取るのが責務だ。優秀な従業員たちがハラスメントによってモチベーションを下げ、離職し、部下のいない管理職だけが残るという寂しい結末だけは避けたい。そしてあきらめるのは未だ早い。トップの考えが変われば職場は変わる。さあ経営者たちよ、職場からハラスメントを撲滅し、全ての従業員達にいきいきと、最高のパフォーマンスを発揮していただき、高モチベーション、高生産性、高利益率、高役員報酬で私腹を肥やせる夢のような会社を実現するのだ!!

まずは就業規則を強化しよう。ハラスメントの撲滅は就業規則の変更なしでは語れない。繰り返すが就業規則の処分規定なしに行為者を解雇などしてしまうと処分に合理性なく解雇無効、逆に訴えられて大変な目にあう。しかし喜ばしいことにハラスメントによる懲戒規定の強化は基本的にだれも反対しない。規則が強化されるのに誰も反対しない不思議な現象がおきるのがハラスメント規則だ。しかし規則に明文化するだけでまだ誰も処分したわけではないのでどんどん進めてよろし。部下にキス強要したら解雇と書いてもよろし。特に下位職者に対する性的言動の禁止は職場内外に範囲を広げ、ついでに長時間の詰問も、大声の叱責も、人間関係からの切り離し(無視)も、就業時間外の会食強要だって全部禁止事項に盛り込んじゃえ。

個別具体的に、処分の範囲、処分の程度を規則上明文化し、社内にどどんと張り出すなどして周知(脅し)するのだ。これだけでも本気度マックスで極めて高い効果がある。就業規則の懲戒事由に盛り込み、注意し、顛末書を書かせ、始末書を書かせ、減給し、クビにする懲戒プロセスの王道は踏まなければならないが、調子に乗って反省しないやつはこのレール行きにすると宣言するのだ。受けた側がハラスメントならハラスメントなのでもしかするとカラオケに誘っただけでもレールに乗ってしまう可能性があるがやむを得ない。不器用でキモいカラオケ大好きな上司一人より、不幸な従業員を救うのが先決だ。併せて口の堅い人間に相談窓口を担当させるのと、外部専門家の第三者意見との突合など、事務的処理が可能な体制構築も図れれば尚ベターだ。

お山の大将たちは震えあがり、マイクを諦め、口数が減ることは間違いないが、鬱陶しい上司の口数が減るということは、平社員や若者たちが安心して働くことが出来る。そして、今度は虐められた若者たちによるオジサンへの報復が始まる。この繰り返す副作用をパワーバランスと呼ぶのだ。オジサン(オバサン)たちも若者たちもできるだけ愛される大人になれるよう、今のうちに自分本位の行為を慎み、襟を正し、学び、誠実に生きなければ寂しい老後が長くなる。そういえば私もオジサンだ。既に歪んでいたならだれかクビにしてくれ。カラオケ行きたい。

 

 

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43歳姉、就職す。

15年以上の長きにわたって専業主婦であった姉が就職した。

3人の子育ても少し落ち着きついに働くと言い出した姉は、テレビと漫画のみの娯楽とついに決別し、根気強く活字を読むことに伴う激しいアレルギー反応(眠気)に耐えて医療事務資格まで取得してしまった。すごいぞ姉。偉いぞ姉。しかし世の中は甘くない。資格を取っただけで安泰など幻想なことをあらゆる実業家は知っているが姉は未だ知らない。長期キャリアロスのある40オーバー謎の主婦をいきなり正社員で採用する会社など存在しない。かと思ったら、自宅近くの病院にあっさり正社員として採用されてしまった。子供を通わせていた関係でお声がけいただいたらしい。なんという運、そして素晴らしい先生。医師の聖職たるゆえんはわけわからないやつを採用できる懐の厚さにもあるのだと。先生ありがとうございます。しかし残念ながら、姉は社会の冷たさを知らずに大人になってしまった典型で、非常に打たれ弱いのです。少しでも厳しい言われ方をすると激しく傷つき、いちいち深く落ち込んでしまうのです。そして子供に慰められて翌日には忘れてしまうような扱いづらい人間なのです。しかし姉はとても良い奴だ。長年弟をしている私が言うのだから間違いない。

さて病院にも当然、様々な人たちが働いているわけで、悪意の有無にかかわらず傷心は避けることが出来ない。優しすぎる無能にとっては悲劇の準備が整っている。さあ聞いてみよう。

やっぱり連日輪に入ることが出来ず、孤立に傷心しているという。そしてやっぱりビジネスの基礎訓練が出来ていない純粋さは新卒レベルで、せっかくの諸先輩方の指導に適切な返事のできない愚か者感を炸裂させてさらに孤立を深めている。

私は新入社員の返事は3つしか許されていないと昔教えられた。

「わかりました」

「ありがとうございます」

「やってみます」

以上だ。

業務上のすべての指示、指導に対しては3つの中から回答しなければならないし、回答できる人間は円滑な人間関係を構築していく。能力などなくても返事さえよければ仕事できると勝手に相手は思ってくれる。裏を返せば、返事の下手クソな人間はどんな立派な出生でもゴミ扱いされる。要は、返事良ければすべてよし。営業マンはそう生きろと言われたし、サラリーパーソンの基礎スキルであると腑に落ちている。しかし残念ながら姉は、

「わかりません」

「聞いてません」

「教えてもらってないのでできません」

「さっき言われたことと違います」

「前はこう教わりました」

「私がやるんですか」

「院長はこう言ってました」

など最高に嫌われるゴミ社員ワードを口にするところもマイルドヤンキー丸出しで自己中心的。本当にいい奴なのだろうか。しかし世界は美しく、また他人はすべて自分に優しくあるべきと信じている愚か者がわが愛する姉なのだ。意地悪で怖い先輩も、阿呆な上司も、冷たい他人もすべては相手に問題があり、自分が作りだしているかもしれないことを疑わない。

よく聞け新入社員。返事は、

「わかりました」

「ありがとうございます」

「やってみます」

以上だ。

 新入社員はこの返事だけマスターすれば、先輩たちからも可愛がられる。可愛がられなければ辞めちまえ。いつか出世したら解雇してやれ。

 

 

RESUS社会保険労務士事務所

山田 雅人

会社の飲み会時間を労働時間とさせないための戦略

春になりました。ウイウイしい新社会人たちが新大阪の街にもあふれています。この時期になると新入生歓迎の飲み会が各地では開催されているでしょう。職場の偉い皆様はとにかく何でも言うことを聞くかわいいかわいい新入社員たちに武勇伝を語りたくて仕方ない時期、せっせと飲み会を段取りしている頃でしょうか。

さて労働法の観点から言うと、新入生の歓迎飲み会は労働時間の可能性が高く、労働時間後に開催されるということであれば本来ならば残業時間、10時を回って二件目にまで連れまわすという愚かなことであれば深夜時間の割増賃金支払い義務が『本当は』発生しています。支払っている会社など存在しないでしょうが訴えられるまでは気づかないでしょう。尚、訴えられて●●(社名)事件などと判例集に記載される恥をさらさないよう気を付けたいところです。

昔私が働いていた職場でも飲み会は頻繁に開催されており、家で居場所がないが会社では偉い人の一声で夜な夜な飲み会が開催されておりました。しかも割り勘。クソでしたね。

 さてそんな新入社員を預かる上司たちに朗報、労働の専門であるわたくしが皆様のために飲み会を労働時間と絶対に算定させないツボを伝授します。

まずは個別に参加の承諾を得ていく方法は職場という組織の同調的圧力、不利益扱いにビビる新入社員が相手では、本人が承諾したからOKという屁理屈は通用しませんので注意しましょう。男性上司が新入女性社員を誘う場合には特に注意が必要で、男女の1対1は問題外。場合によってはセクハラとパワハラの合わせ技、ネットに書き込みされたりして大変な企業ダメージを受ける可能性があることも十分理解しておかなければなりません。もちろん行為者もただでは済みません。

労働時間と判定させないためには、会社の指揮命令下にないことと、参加の諾否が自由であることの要点は最低限押さえておかなければなりません。もちろん、発言がなくてもそういう雰囲気(黙示の指示といいます)があれば強制であり賃金支払い義務の発生する労働時間と判定される可能性が非常に高くなりますし、飲み会で業務の話ばかりしていると当然労働時間となりますので完璧なロジックを構築しなければなりません。

よって、不参加による不利益扱いは一切なく、性別や一部に特定されない方法(匿名が望ましい)で参加の諾否を問い、飲食費は会社の負担とする程度は配慮すべきで、受益の公平性の観点から特定の人間がいつも会社の金で飲み食いしていることは税法上も社会保険法上も否認される恐れがあります。参加自由、部署内で幅広く参加を認められるランダムな人選で、かつ経費にしたいなら一人5,000円以下で慎ましく、過半の参加を取得しなければなりません。

かなり厳しくなってきました。 

あなたの主催する飲み会には誰が参加するでしょうか。ゴマすり上手な部下たちを集めてお山の大将にならないように。元部下に将来リストラされることのないよう意地悪など決してしないように。

 

リスクに敏感な賢い管理者の取る道はただ一つ、開催しないこと。もしも誘われたならお金だけあげて参加しない。参加してもお金渡してすぐ帰りましょう。

 

 

 

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